予防歯科
- 再石灰化の促進
歯の表面にフッ素が存在すると、酸によって溶け出したミネラルが再び歯の表面に戻る過程(再石灰化)が促進されます。これにより、初期の虫歯が修復されることがあります。 - 酸に対する耐性の向上
フッ素がエナメル質に取り込まれることで、エナメル質自体が酸に対して強くなります。これにより、虫歯の発症・進行を遅らせる効果があります。 - 細菌の活動の抑制
フッ素は、虫歯を引き起こす細菌の代謝を阻害し、酸の生成を減少させる作用があります。
歯の健康は、全身の健康と密接に関連しています。
例えば、歯周病は心疾患や糖尿病のリスクを高める可能性が指摘されています。
このような背景から、疾患の治療よりもその発症を予防することの重要性が高まってきました。
この予防のアプローチを中心とした歯科治療が「予防歯科」です。
予防歯科は、ただ単に虫歯や歯周病を防ぐだけでなく、口の中の健康を維持し、生涯自分の歯で美味しく食事ができることを目指しています。
さらに、美しい歯並びや白い歯は自信を持って笑顔になるための要因ともなります。
当院で行う予防歯科
正しい歯磨きの指導
適切な歯磨きの方法やブラッシングのタイミングを指導し、プラーク(歯垢)の除去を促進します。
歯のクリーニング
専用の器具を使って、歯の表面や歯間の汚れを取り除きます。
プロのクリーニングは歯垢や歯石の蓄積を防ぎ、歯周病や虫歯のリスクを低減します。
フッ素の応用
フッ素は歯のエナメル質を強化し、虫歯の発生を予防する効果があります。
歯の健康チェック
定期的な口腔検診により、早期に虫歯や歯周病の兆候を発見し、早急な対処を行います。
日常の正しいブラッシングや定期的な歯科検診は予防歯科の基本ですが、加えて、フッ素の使用も大変有効な手段とされています。
フッ素とは
フッ素は、自然界に広く存在する元素の一つで、特に骨や歯に多く存在します。
歯の表面に存在するエナメル質はハイドロキシアパタイトという鉱物で構成されており、このハイドロキシアパタイトが酸によって溶け出すことで虫歯が進行します。
フッ素は、このエナメル質を酸に対して耐性を持たせる役割を果たします。
フッ素の虫歯予防への効果
フッ素が歯に与える主な効果は以下の3つです。
フッ素の適切な使用方法
フッ素入りの歯磨き粉
日常のブラッシングにフッ素入りの歯磨き粉を使用することで、歯にフッ素を供給することができます。
フッ素塗布
歯科医院での治療の一環として、高濃度のフッ素を歯の表面に直接塗布することもあります。
特に虫歯が進行しやすい子供や高齢者には推奨される場合が多いです。
フッ素入りのうがい薬
市販されているうがい薬の中にもフッ素が含まれているものがあり、これも虫歯予防の一助となります。
しかし、過剰にフッ素を摂取すると、歯や骨に白い斑点や変色が生じる「フッ素斑」という症状が現れることがあります。特に発育途中の子供は、過剰摂取による影響を受けやすいため注意が必要です。
予防歯科の考え方は、病気の発症を待つのではなく、それを未然に防ぐというものです。
そのための重要な手段として、フッ素の適切な使用が挙げられます。日常の歯磨きや定期的な歯科検診を通じて、自分の歯を健康に保つことが、全身の健康をも支える大切なステップとなります。